教授のご挨拶

三村 將 ご挨拶

三村 將 鹿島晴雄教授のあとを受けて、4月から精神・神経科学教室教授を拝命いたしました。1992年に精神・神経科の助手を辞して以来、米国留学、東京歯科大学市川総合病院、昭和大学と学外におりましたが、このたび19年ぶりに母校に戻る機会をいただきました。よろしくお願い申し上げます。
私は大学医学部の第一の使命は、深い人間愛に満ちた医療人の育成にあると信じています。高度医療の時代だからこそ、ますます今日の医師には豊かな人間性と「情」にあふれた他者への共感が求められています。精神・神経科としては、医学的知識に偏らず、全人的なバランスのとれた考え方、医療倫理、社会的教養を養うことを主眼としたいと思います。
臨床においては、私自身はこれまで認知症や老年期うつ病を含む老年精神医学の領域を主に専門としてまいりました。したがって、慶應病院で現在、神経内科・放射線科と診療科横断的に高度専門診療を展開しているメモリークリニックや、うつ病を中心とする気分障害の早期診断から早期治療、難治例の短期集中治療をさらに充実させていきたいと考えております。しかしながら、精神・神経科は多彩な人材と多様な方向性を内包していますので、特定の専門にとどまらず、すべてのライフサイクル、いかなる領域にも対応できる幅の広さと、世界最先端の精神医療を提供できる深さとをバランスよくあわせ持つ臨床教室を実現していきたいと思います。
Nature誌は昨年1月号の巻頭言で、2010年からの10年を”A decade for psychiatric disorders”と位置づけています。この論評に象徴されるように、主要な精神科疾患の解明が今後10余年の間に飛躍的に進むことは確実です。われわれ精神・神経科学教室も世界水準の研究を推進していかなければなりません。そのためには、北里先生以来、慶應義塾の真骨頂である基礎医学教室と臨床医学教室との緊密な連携を精神・神経科学教室でもぜひ発展させていきたいと思います。それこそが”A decade for psychiatric disorders”における精神神経科学教室の方向性であると信じています。
長い伝統を誇る精神・神経科学教室を主宰させていただくことは、大変光栄であると同時に、その責任の重さを痛感しております。教室関係の諸先生のお力添えは言うまでもありません。さらに塾内外の多くの先生方のご協力をいただきながら、教室の運営と慶應義塾の発展のために全力を尽くす覚悟であります。

プロフィール紹介

三村 將(みむら まさる)
慶應義塾大学医学部
精神神経科学教室教授、医学博士

〒160-8582
東京都新宿区信濃町35
TEL: 03-5363-3829
FAX: 03-5379-0187
E-mail: mimura@a7.keio.jp

専門は神経心理学、老年精神医学、認知リハビリテーション。

略歴

  • 1984年
    慶應義塾大学医学部卒
  • 1984年
    慶應義塾大学医学部精神神経科研修医
  • 1990年
    慶應義塾大学医学部精神神経科助手
  • 1992年
    ボストン大学医学部行動神経学部門(Martin L. Albert教授)、失語症研究センター(Harold Goodglass教授)、記憶障害研究センター(Laired Cermak教授)研究員
  • 1994年
    東京歯科大学市川総合病院精神神経科専任講師
  • 1999年
    昭和大学医学部精神医学教室専任講師
  • 2000年
    昭和大学医学部精神医学教室助教授
  • 2011年
    慶應義塾大学医学部精神神経科学教室教授

研究内容

私の主な関心は、脳の基盤にもとづいて、認知機能、精神機能、行動を解明していくことにあります。アプローチの方法としては、精神疾患や脳損傷例の観察や神経心理学的評価、機能画像研究が中心です。
私自身はさまざまな精神神経領域の障害メカニズムを臨床的に検討することにより、合致した薬物療法や認知リハビリテーションなど、適切な介入方法・治療を模索していくことがもっとも重要であると考えています。このような研究を通じて、障害に悩む患者さんの問題点にきちんと向き合い、社会的貢献ができればと願っています。