精神薬理学研究室

当研究室について 内田 裕之(慶應義塾大学、専任講師)

今日の精神科治療において,薬物療法はその中心的役割を果たしており,その作用・副作用を十分に理解することはきわめて大切です。我々の研究室では,その必要不可欠である薬物療法を臨床的に最大限に有効活用できるように,多岐にわたる研究・教育活動を行っています。また,将来を見据え,新しい治療につながる可能性のある研究も行っています。こうした活動を通じて、一人でも多くの患者様のためになるような情報を世界に広く発信できるように,研究員皆で日々研鑽を積んでおります。加えて,次世代を担う研究者の育成も当研究室の大切な役割です。世界の研究の最前線で活躍できる研究者の育成にも努めています。

私たちが目指すもの

研究会・勉強会

医療関係者を対象に月に2回のペースで活発に研究会・勉強会を行っています。また,定期的に国内外から講師を招き,ディスカッションを行っています。
ご興味のある方はこちらのお問い合わせフォームでご連絡ください。

教育

ささまざまな講演会を通じて,より安全な薬物療法に関する情報を発信しています。また,モーズレイ処方ガイドラインの翻訳なども手掛け,精神科治療全体のさらなる向上を目指しています。
研究室としてのツイッター(@KeioPsychopharm)も運営して活動内容を紹介しています。

研究者育成

精神科疾患の十分な解明には、まだまだ時間が必要です。そこで,当然ながら次世代の研究者の育成は極めて重要と言えるでしょう。当研究室では,指導医がきめ細やかに指導するだけではなく,多くの積極的な若手研究員が切磋琢磨する中で,世界に通用する研究者の育成に努めています。

歴代研究室代表

  • 伊藤斉
  • 八木剛平
  • 渡邊衡一郎

研究紹介

        • 統合失調症薬物治療のエキスパートコンセンサスNew 日本臨床精神神経薬理学会専門医への調査により、統合失調症の様々な状況における薬物治療の推奨を示しました。第二世代抗精神病薬、特にアリピプラゾールを、種々の症状が目立つ時や再発予防・社会復帰を目指す時の第一選択として推奨しています。 Sakurai H, et al. Pharmacopsychiatry 2020 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33434943/
        • 統合失調症急性期の抗精神病薬用量のメタ解析 抗精神病薬の最小有効用量(MED)の2~3倍量は、MEDに比べて、効果は優れていましたが、副作用は多いという結果が得られました。急性期治療用量の設定に有用な知見となることが期待されます。 Takeuchi H, et al. Schizophr Bull 2020 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32415847/
        • 統合失調症の再発は治療抵抗性に寄与するか? 2回目エピソードの統合失調症患者は、初回エピソード患者と比較して、抗精神病薬投与により50%以上の症状改善が得られる割合が有意に低く、症状の改善経過も有意に不良でした。抗精神病薬に対する反応性は、再発後には減弱ないし遅延する可能性が示唆されました。 Takeuchi H, et al. Neuropsychopharmacology 2019 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30514883
        • 統合失調症治療における第二世代の経口抗精神病薬の長期的な有効性の比較 統合失調症患者において、第二世代の経口抗精神病薬を投与した場合の長期転帰を直接比較したRCTをメタ解析しました。59報の研究(n=45,787)を解析したところ、あらゆる原因による治療中断において、クロザピン、オランザピン、リスペリドンがいくつかの第二世代抗精神病薬と比べて優れていました。 Kishimoto T, et al. World Psychiatry 2019 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31059621/
        • アリピプラゾールは統合失調症の精神病症状を悪化させるか? メタ解析の結果、アリピプラゾールへの変薬は、他の抗精神病薬への変薬と比較して、精神病症状の悪化リスクに有意な差は認めませんでしたが、効果不良による試験中断率が有意に高いことが示されました。 Takeuchi H, et al. J Clin Psychiatry 2018 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29570965
        • 経口薬と持効性注射剤の比較:前方視的および後方視的コホート研究のメタ解析 統合失調症患者において、経口薬または持効性注射剤の抗精神病薬を開始後、入院を転帰として調べた前方視的および後方視的コホート研究に関するメタ解析を行いました。42報の研究(n=101,624)を解析したところ、持効性注射剤を投与された群では入院率が有意に低いことが明らかになりました(NNT=6)。 Kishimoto T, et al. Schizophr Bull 2018 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29868849/
        • 効果不十分な統合失調症で抗精神病薬を増量するか? 中等量のオランザピンもしくはリスペリドンで治療効果が不十分な統合失調症患者を対象に、倍量への増量と用量維持を比較した二重盲検無作為化試験を行いました。増量は用量維持に比べ、脱落が多く症状も改善せず、有効とは言えませんでした。 Sakurai H, et al. J Clin Psychiatry 2016 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27788310
        • 統合失調症の再発予防における経口薬と持効性注射剤の比較:メタ解析 統合失調症患者において、経口薬と持効性注射剤の再発予防効果を比較した21報のRCT(n=5,176)をメタ解析しました。主要転帰の再発や、二次転帰のあらゆる原因による治療中断において両群で有意差はなく、観察研究の知見との乖離が明らかになりました。 Kishimoto T, et al. Schizophr Bull 2014 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23256986/
        • 経口薬と持効性注射剤の比較:ミラーイメージ研究の系統的レビューとメタ解析 統合失調症患者において、持効性注射剤を導入する前後6ヶ月以上の期間における転帰を比較したミラーイメージ研究に関するメタ解析を行いました。25報の研究(n=5,940)を解析したところ、経口薬から持効性注射剤への切り換え後、入院率および入院回数が有意に減少(半減)しました。 Kishimoto T, et al. J Clin Psychiatry 2013 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24229745/
        • 抗精神病薬低用量と通常用量による統合失調症再燃予防 統合失調症の再燃予防に適切な抗精神病薬の用量を検討するため、2種類以上の用量を24週以上検証した二重盲検無作為化比較試験のメタ解析を行いました。通常の半分以上の用量では通常用量と概ね同等の効果となることを示しました。 Uchida H, et al. Schizophr Bull 2011 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19946012
        • 統合失調症における抗精神病薬の有効性と副作用の用量依存的影響New 統合失調症治療において、抗精神病薬の用量がその効果や様々な副作用等にどのような影響を及ぼすかについてまとめました。用量の観点から、薬物療法のリスクとベネフィットを考えることで、薬物療法の適正化につながると考えます。 Yoshida K and Takeuchi T. Behav Brain Res 2021 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33417992/
        • 多飲症の診断基準と重症度評価尺度の作成New これまで多飲症の明確な診断基準や重症度尺度が存在していませんでした。そこで本研究では系統的レビューに基づき項目を抽出した後、多飲症の経験豊富な10人の臨床家にデルファイ法を行い、多飲症診断基準Polydipsia Diagnostic Criteria (PDS) と多飲症重症度尺度Polydipsia Severity Scale (PSS)を作成しました。 Sakuma M, et al. Psychiatry Res. 2021 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33461119/
        • クロザピン用グラスゴー抗精神病薬副作用評価尺度(GASS-C)日本語版の信頼性の検討 クロザピンのために作られた副作用評価尺度であるGASS-Cの日本語版を開発し、その信頼性が十分であることを確認しました。GASS-C使用によって、諸外国に比べて低いクロザピン利用率増加の一助となることが期待されます。 Kitagawa K, So R, Nomura N, et al. PLOS One 2020 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32555706/
        • 抗精神病薬誘発性体重増加とレプチン遺伝子との関連性 抗精神病薬誘発性体重増加とレプチン遺伝子の一塩基多型(-2548G/A)に関するメタ解析の結果、主解析(アレル A保有群vsアレルG保有群)では有意差は認めませんでしたが、初発統合失調症患者のみを対象とした解析では、アレルA保有者が体重増加をきたしやすいことが示されました。但し試験数が少ないためさらなる研究が必要です。 Yoshida K, et al. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry 2020 https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0278584620302682
        • セロトニン刺激薬内服中にセロトニン-ドパミン拮抗薬中止により惹起されたセロトニン症候群の一例 75歳の身体表現性障害の女性(ミルナシプランとペロスピロン内服中)がデュロキセチンの追加後、歩行困難・振戦を呈し、錐体外路症状と判断され、ペロスピロン中止。その後、セロトニン症候群を発症しました。歩行困難、振戦などの症状は錐体外路症状と誤診されやすいため、反射や痙性の評価を行い、セロトニン症候群の可能性を考えることが重要です。 Ishida T, et al. Clin Neuropharmacol 2020 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32217863
        • 多飲症と抗精神病薬についての系統的レビュー ドパミンD2受容体に高い親和性のある抗精神病薬は多飲症の発症に関連し、クロザピンは多飲症の治療に有用である可能性が示されました。 Kirino S, et al. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry 2019 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31472167
        • 統合失調症において、抗精神病薬による代謝系副作用を軽減するための併用薬の効果 計40報の二重盲検RCTを対象にメタ解析を実施しました。抗精神病薬誘発性の体重増加に対し、メトホルミンの効果を調べた研究が10報と最多で、プラセボと比較して3kg強の有意な体重減少を認めました。その他、トピラマート、シブトラミン、アリピプラゾール、レボキセチンの有効性が示唆されました。 Mizuno Y, et al. Schizophr Bull 2014 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24636967/
        • 統合失調症維持期の薬物療法ガイドラインの系統的レビュー 各国のガイドラインは、安定した統合失調症において、以前より抗精神病薬の中止や減量に対して推奨傾向になってきています。しかし、最新の研究は抗精神病薬の中止に対して否定的な報告も多く、中止に関しては今後再び非推奨に傾くかもしれません。 Shimomura Y, et al. Schizophr Res 2019 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31784340
        • 統合失調症治療における抗精神病薬の減量成功と関連する因子 メタ解析の結果、減量後の抗精神病薬用量をクロルプロマジン換算200 mg/日以上に保つことが減量の成功と関連していました。減量が可能な統合失調症患者の特徴や減量方法を知る一助となることが期待されます。 Tani H, et al. Neuropsychopharmacology 2020 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31770770
        • 統合失調症における予測モデルを用いた抗精神病薬の減量研究 リスペリドンまたはオランザピンで治療中の患者を対象に、事前に我々の作成したモデルを用いてどれだけ抗精神病薬を減量できるが予測した上で、減量しました。症状が安定している患者においては抗精神病薬を安全に減量できる可能性を示しました。 Ozawa C, et al. J Clin Psychopharmacol 2019 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31188232
        • 統合失調症治療における抗精神病薬中止の成功と関連する因子 系統的文献レビューの結果、複数の因子が抗精神病薬中止の成功と関連している可能性が示唆されました。但し、総じて抗精神病薬中止による再発率は高く、リスクとベネフィットの点から慎重に検討する必要があります。 Tani H, et al. J Clin Psychopharmacol 2018 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30300291
        • 安定した統合失調症におけるリスペリドンとオランザピンの減量 安定した統合失調症患者において、リスペリドンあるいはオランザピンの50%減量は用量維持と比較して再発および精神症状に有意な差はなく、認知機能、陰性症状、錐体外路症状の改善が認められました。第2世代抗精神病薬の減量の有効性を検討した数少ないRCTです。 Takeuchi H, et al. Schizophr Bull 2013 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23821768
        • 抗精神病薬:転帰の改善を目指してNew 統合失調症治療における抗精神病薬の投与法に関するエディトリアルを発表しました。①抗精神病薬の用量(急性期および維持期)、②抗精神病薬の投与回数、③抗精神病薬の変更方法、につき最新のエビデンスをまとめ、再考しました。 Takeuchi H, et al. Schizophr Bull. 2021 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33748864/
        • 抗精神病薬の変更における前薬の急速中止と待機後緩徐中止のメタ解析 抗精神病薬を変更する際に、前薬を急速に中止した場合は、後薬を開始した後しばらくして緩徐に中止する場合と比べて、あらゆる理由による試験中断率が有意に高いことがわかりました。より慎重な変更が必要な場合は、待機後緩徐中止が望ましいかもしれません。 Takeuchi H, et al. J Psychopharmacol 2020 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32448023/
        • 統合失調症における抗精神病薬の急速開始と緩徐開始の比較 メタ解析の結果、抗精神病薬の急速開始は、緩徐開始と比較して、急性期の統合失調症患者では試験中断率に有意な差を認めませんでした。一方、安定した患者における抗精神病薬の変更では劣っていました。急性期では急速開始、抗精神病薬変更時には緩徐開始が有用かもしれません。 Takeuchi H, et al. Schizophr Res 2018 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28844639
        • 抗精神病薬変更時の急速中止と緩徐中止の比較 メタ解析の結果、抗精神病薬変更時の急速中止は、緩徐中止と比較して、試験中断率、精神症状、有害事象に有意な差を認めませんでした。必要時には、急速中止も可能かもしれません。 Takeuchi H, et al. Schizophr Bull 2017 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28044008
        • 統合失調症における抗精神病薬持効性注射剤(LAI)中断者のその後の処方New 何らかの理由により抗精神病薬持効性注射剤(LAI)を中断した統合失調症患者のその後の転帰について調べました。LAIの再導入や多剤処方に至るなど治療に難渋しているケースが多く、これらの患者にはクロザピンの導入を検討しても良いのではないかと結論づけました。 Asano K, et al. Psychiatry and Clin Neurosci. 2021 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33634925/
        • アセナピンの早期治療反応予測因子についての再解析研究 統合失調症患者に対するアセナピンの第三相試験の再解析研究です。どの症状が早期に改善すると、その後の治療転帰が良いかを調べ、いくつかの陰性症状や病識の欠如、衝動の調節障害、注意障害などの早期改善が、その後の治療転帰に寄与していることが示唆されました。 Ogyu K, et al. Neuropsychopharmacol Rep 2020 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32180369/
        • 統合失調症治療における薬理遺伝学の適用 統合失調症治療に使用される抗精神病薬は、個々人のCYP遺伝子(代謝関連遺伝子)などの違いによってその代謝が異なり、ひいては薬の効果・副作用にも影響することがわかっています。こうした統合失調症治療のために使用される薬剤の効果・副作用と遺伝子の関連性をまとめています。 Yoshida K, et al. Psychiatric Times 2019 https://www.psychiatrictimes.com/special-reports/using-pharmacogenetics-making-treatment-decisions-schizophrenia
        • 統合失調症患者におけるプラセボ反応の再解析 プラセボ反応に関連する臨床特徴を探索するとともに、プラセボリードイン相でどの程度の精神症状の改善が後の反応を予測するか検討しました。プラセボへの早期の反応と思考解体の少なさが後の高い反応に関連しており、10%~15%のPANSS総点改善が後の反応を最も鋭敏に予測しました。 Kubo K, et al. Acta Psychiatr Scand 2019 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30198163
        • 早期プラセボ反応がその後のプラセボ反応を予測する 持効性注射製剤の臨床試験データの再解析から、早期プラセボ反応と病識の良さがその後のプラセボ反応と関連していることが示されました。プラセボ反応者を早期に除外して臨床試験デザインを最適化する一助となる知見と期待されます。 Kumagai F, et al. J Clin Psychiatry 2018 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30549487
        • 抗精神病薬の脳内ドパミンD2受容体占拠率と血中濃度の時間経過 系統的レビューより、抗精神病薬の種類によらず、脳内ドパミンD2受容体占拠率の減衰率は血中濃度の減衰率より低いことが示されました。脳内での薬物動態に基づいて抗精神病薬の用量や投与間隔の設定を考える上で、重要な知見です。 Kurose S, et al. J Clin Psychiatry 2020 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32726002/
        • 抗精神病薬減量後のドパミンD2/3受容体占拠率の予測 母集団薬物動態解析法を用いて減量後の抗精神病薬投与量から血中濃度を予測し、さらにドパミンD2/3受容体占拠率を推定する二段階の予測モデルは、実際にPET検査で測定した受容体占拠率と有意に強い相関を認めました。統合失調症治療における抗精神病薬の至適投与量の決定に非侵襲的な本モデルの活用が期待されます。 Nakajima S, et al. Schizophr Bull 2016 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26221049
        • 統合失調症の維持療法ではD2受容体の持続的遮断は必要か:単盲検RCT 維持期の統合失調症患者68名を対象に、抗精神病薬の血中濃度からD2占拠率を推定し、持続遮断群(トラフで≧65%)と非持続遮断群(同<65%)に盲検化しました。52週後の精神症状に有意差はなく、維持期では低いD2占拠率で十分な可能性が示唆されました。 Tsuboi T, et al. Schizophr Res 2015 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25864950/
        • ドパミンD2受容体占拠率と臨床効果 統合失調症で抗精神病薬による治療効果・錐体外路症状とポジトロン断層法によるD2受容体占拠率とを検証した論文の系統的レビューを行いました。若年成人ではD2受容体占拠率が60-78%の場合に、副作用なく効果が表れやすいことを示しました。 Uchida H, et al. J ClinPsychopharmacol 2011 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21694629
        • 抗精神病薬血漿濃度からドパミンD2受容体占拠率の推定 統合失調症で抗精神病薬の血漿濃度とポジトロン断層法によるD2受容体占拠率とを検証した論文の系統的レビューを行いました。抗精神病薬5剤について検討し、血漿濃度から高い精度でD2受容体占拠率が推定できることを示しました。 Uchida H, et al. J Clin Psychopharmacol 2011 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21508857
        • 統合失調症におけるクロザピンと他の抗精神病薬のアドヒアランス 本研究では、統合失調症における抗精神病薬のアドヒアランスをMedication Event Monitoring System (MEMS)を用いて前向きに測定し、クロザピンは他の抗精神病薬に比べ服薬アドヒアランスが優れていることが示されました。 Takeuchi H, et al. Acta Psychiatr Scand 2020 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32627168/
        • 統合失調症患者の薬物療法に対するニーズと主治医によるその把握 薬に対する好みやニーズを多肢選択で問い、主治医に患者の回答予測をしてもらいました。主治医は患者回答を十分には予測できず、アドヒアランス向上のために薬剤選択や疾患教育に留意する必要性が示唆されました。 Takahashi K, et al. Neuropsychopharmacol Rep 2020 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32489004
        • 統合失調症患者の薬に対する態度、病識、薬の知識に関する横断研究 薬に対する構えの良さは、重症度の低さ、病識の高さ、罹病期間の長さと関連し、処方されている薬の効果に関する質問への正答率にも差がみられました。病識や薬の知識を高めることがアドヒアランスの向上をもたらす可能性があります。 Nagai N, et al. Neuropsychiatr Dis Treat 2020 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32256074
      • うつ病増強療法の中止が治療転帰にもたらす影響についての系統的レビュー・メタ解析 うつ病増強療法はいつまで続けるべきなのでしょうか?メタ解析の結果、エスケタミン以外は中止可能かもしれないが、寛解後も継続した場合においてはその限りではないだろう、と示唆されました。 Kato H, et al. Pharmacopsychiatry 2020 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33368090/
      • うつ病における静注ケタミンの初期・維持治療 米国マサチューセッツ総合病院でカルテ調査を行い、静注ケタミン治療による長期効果を調べました。高額ながらも初期治療を始めた約半数が維持治療に移行しており、患者さんが改善を感じていることが示唆されました。 Sakurai H, et al. J Affect Disord 2020 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32871698/
      • うつ病薬物治療のエキスパートコンセンサス 日本臨床精神神経薬理学会専門医を対象とした調査により、うつ病の各臨床場面における薬物治療の推奨を示しました。各前景症状による抗うつ薬の選択、第一選択抗うつ薬で治療効果が不十分な時の治療選択を示しています。 Sakurai H, et al. J Affect Disord 2020 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32056937
      • うつ病におけるSアデノシルメチオニン(SAMe)の増量 SAMeはうつ病に効果がありますが、最適用量は不明確です。二重盲検試験のデータを用い、1日あたり1,600mgの用量で効果が不十分だった患者で3,200mgに増量したところ、うつ症状は改善したものの腹部症状が多く報告されました。 Sakurai H, et al. J Affect Disord 2020 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31733455
      • 治療抵抗性うつ病における長期的リルゾール増強療法 筋萎縮性側索硬化症治療薬リルゾールのうつ病に対する効果は意見が分かれています。8週間の二重盲検試験後に行われた12週間の非盲検データを用い、長期的リルゾール増強療法は治療抵抗性うつ病に一定の効果があることを示しました。 Sakurai H, et al. J Affect Disord 2019 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31400624
      • パニック障害における抗うつ薬への精神依存 東京の外来4ヶ所で、パニック障害患者の抗うつ薬への精神依存の頻度を調査しました。従来の見解と異なり、全体の35.7%が精神依存をきたしていました。非寛解状態および罹病期間が精神依存のリスクとなっていました。 Fujii K, et al. Int Clin Psychopharmacol 2017 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27496597
      • 双極性うつ病における抗うつ薬の用量反応関係 STEP-BD試験の再解析の結果、双極性うつ病に対する高用量の抗うつ薬あるいはプラセボの追加投与は低用量の抗うつ薬よりリカバリーの点で優り、躁転は群間で差がありませんでした。双極性うつ病に対する抗うつ薬使用への重要な知見であり、CINPの双極性障害ガイドラインにも引用されています。 Tada M, et al. J Psychiatr Res 2015 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26228414
      • 内因性うつ病と反応性うつ病で治療方針は異なるか? DSM-IVの軽症うつ病に該当し、かつNew Castle分類に基づく内因性および反応性うつ病を満たす架空の症例を医師に呈示して治療選択のアンケート調査を行いました。抗うつ薬は内因性うつ病で、精神療法は心因性うつ病で有意に多く選択され、日本の精神科医は内因性と心因性を区別して治療を行っている可能性が示唆されました。 Mizushima J, et al. BMC psychiatry 2013 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24237589/
      • うつ病の下位症状推移と寛解予測 米国で行われたSTAR*D試験データを解析することで、全てのうつ病下位症状が治療開始から2週で大きく改善し、その後緩やかに改善することを示しました。また中核症状が早期に改善すると寛解しやすいことを明らかにしました。 Sakurai H, et al. J Affect Disord 2013 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23886402
      • うつ病患者における、抗うつ薬の副作用の自覚:前方視的研究 493名のうつ病患者を対象に、抗うつ薬の開始前後で有害事象を評価し、薬剤との関連性についてどう思うか調査しました。85%の患者が追跡評価で何らかの有害事象を発現しましたが、その大半が抗うつ薬との関連性を疑っておらず、自覚のないまま副作用を抱えてしまう可能性が示唆されました。 Kikuchi T, et al. J Affect Disord 2011 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21821295/
      • 早期非反応を示した患者への抗うつ薬変薬の有効性RCT 2週間の抗うつ薬投与で反応不良のうつ病患者に対して、変薬は継続よりも反応、寛解ともに優っていました。うつ病急性期治療で早期反応不良の場合には抗うつ薬を変えることが有用かもしれません。パイロット研究として、国際的なガイドラインに引用されています。 Nakajima S, et al. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry 2011 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21889560
      • 双極性障害薬物治療のエキスパートコンセンサス 日本臨床精神神経薬理学会専門医を対象とした調査により、双極性障害の様々な状態における薬物治療の推奨を示しました。特にリチウムの単独治療や、リチウムと抗精神病薬を組み合わせた併用療法を広く第一選択として推奨しています。 Sakurai H, et al. Bipolar Disord 2020 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32558145/
      • 気分安定薬の適応症とNeuroscience Based Nomenclature (NbN) 日本、米国における双極性障害に適応を有するすべての薬剤についてそれ以外の適応症を調査したところ、ほとんどが双極性障害以外への適応を有していました。既存の向精神薬の命名法には限界があり、NbNのような薬理作用に基づいた命名法が期待されます。 Kikuchi Y, et al. Psychiatry Clin Neurosci 2018 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30511373
      • 血中リチウム濃度の予測モデル 体重、年齢、血中クレアチニン値等の臨床データからリチウムクリアランスを算出、それを基に予測モデルを構築し、その予測精度が先行研究のモデルよりも優れていることが示唆されました。但し外れ値などもあるため、より精密な検討も必要となると考えます。 Yoshida K, et al. Pharmacopsychiatry 2018 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28768341
      • 精神科患者における酒とベンゾジアゼピン併用の実態調査 統合失調症、うつ病、不眠症の外来患者に質問紙を用いて酒とベンゾジアゼピン系薬剤の併用について実態調査を行った結果、全体の39.8%に併用が確認されました。このような危険な併用が頻繁であることに医師は注意を払うべきです。 Uchida T, et al. Int Clin Psychopharmacol 2019 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30998597
      • ベンゾジアゼピン長期投与の効果と副作用 メタ解析の結果、不安障害に対して8週目まで抗うつ薬と同等の効果のあったベンゾジアゼピンをそのまま13週以上投与しても、効果と副作用の面で抗うつ薬と有意差はありませんでした。ベンゾジアゼピンの長期投与の効果に関する初めてのメタ解析です。 Shinfuku M, et al. Int Clin Psychopharmacol 2019 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31274696
      • パニック障害におけるベンゾジアゼピン依存 東京の外来4ヶ所で、パニック障害患者におけるベンゾジアゼピン系薬剤の精神依存の頻度を調査しました。患者全体の60.8%(寛解群の44.1%、非寛解群の94.1%)に精神依存を認め、症状の非寛解が精神依存リスクになること、寛解群では比較的安全に継続使用できる可能性を示しました。 Fujii K, et al. Psychiatry Clin Neurosci 2015 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24836178
      • 日本における精神薬理学の現状に関する総説 精神薬理学のあり方(向精神薬の使用方法など)は、その地域のヘルスケアシステム、教育、広告、伝統などの影響を色濃く受けます。日本特有の精神薬理学を取り巻く背景を中心に紹介しつつ、多剤併用などの問題にも触れながら、今後の精神薬理学の発展について考察しています。 Yoshida K, et al. J Clin Psychopharmacol 2018 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30113353
      • 新しい多軸命名法 Neuroscience-based Nomenclature (NbN) とは 現在の向精神薬の命名法は最新の科学的知見を必ずしも反映していないため、世界の精神薬理学会・連合が新しい命名法NbNを提唱しています。NbNの最新版は、HP (http://nbnomenclature.org/)またはアプリで確認できます。 Uchida H. Psychiatry Clin Neurosci 2018 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29436090
      • 向精神薬の頓服使用に関する総説 抗精神病薬やベンゾジアゼピンといった向精神薬は焦燥や不安などの症状に対して頓服薬としても使用されます。しかし、向精神薬が頓服薬として使用された際の効果や副作用に関して、質の高い研究デザインで検討した研究は非常に少なく、さらなる研究が必要です。 Yoshida K, et al. Int Clinical Psychopharmacol 2013 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23727905
      • 統合失調症患者の認知機能障害に対するグルタミン酸作動薬の効果 メタ解析の結果、グルタミン酸作動薬は総合認知機能と8つの副項目を改善しないことが明らかになりました。今後の研究では対象者の選択などさらなる研究が必要であることが示唆されました。 Iwata Y, et al. Mol Psychiatry 2015 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26077694
    • 治療抵抗性統合失調症における前頭線条体結合性と線条体グルタミン酸濃度 治療抵抗者では、治療反応者および健常者に比べて、前頭線条体における白質の結合性が低下し、さらに尾状核のグルタミン酸と白質の結合性との関係性が、抗精神病薬における治療反応と関係する可能性が示唆されました。 Ochi R, Tarumi R, et al. Schizophr Bull Open 2020 https://doi.org/10.1093/schizbullopen/sgaa057
    • AMPA受容体を標識する新規PETリガンドの開発 神経機能で中心的役割を果たしている「AMPA(アンパ)受容体」を標識するPETプローブを、横浜市大生理学教室が世界で初めて開発し、ヒト生体脳でのAMPA受容体の局在を可視化しました。今後、精神神経疾患患者への応用が期待されます。 Miyazaki T, et al. Nat Med 2020 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31959988
    • 治療抵抗性統合失調症患者(TRS)におけるグルタミン酸濃度 健常者と比較してTRSの背側帯状皮質ではグルタミン酸+グルタミン(Glx)濃度が高いということが判明しました。これはTRSの生物学的特性を示唆し、今後の画像診断の発展や早期のクロザピン導入の一助になる可能性があります。 Tarumi R, et al. Neuropsychopharmacology 2020 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31842203
    • 依存症患者の死後脳におけるAMPA受容体について 我々は系統的レビューにより件の文献の整理・考察を行いました。抽出されたアルコールおよび薬物依存に対する11報の死後脳研究からは同受容体の発現・結合能の変性について一貫した知見が得られず、今後は生体脳での研究が強く望まれます。 Ueno F, et al. Neuropsychopharmacol Rep 2019 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31070872
    • 精神疾患患者における対人葛藤刺激に対する情動処理の特徴 対人葛藤を喚起するような刺激で条件付けを行い、皮膚コンダクタンス反応(SCR)を測定しました。
      うつ病患者では消去学習が遅く、統合失調症患者では連合学習が不良という社会的な情動認知の特徴が描出されました。
      Tani H, et al. Psychiatry Clin Neurosci 2019 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30499148
    • クロザピン抵抗性統合失調症におけるグルタミン酸濃度 クロザピン抵抗性患者で前帯状回におけるグルタミン酸濃度が高いことが分かりました。前帯状回でグルタミン酸濃度が高いことは非クロザピン抵抗例を含めた治療抵抗例における共通した特徴であることが示唆されました。 Iwata Y, et al. Biol Psychiatry 2019 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30389132
    • 抗精神病薬非内服統合失調症におけるMRS研究のメタ解析 抗精神病薬を内服していない統合失調症患者で視床におけるN-アセチルアスパラギン酸(NAA)の濃度が低いことが明らかになりました。視床の神経統合性が統合失調症の早期から障害されている可能性を示唆しました。 Iwata Y, et al. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry 2018 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29580804
    • うつ病における電気けいれん療法(ECT)後の脳機能変化 近赤外線スペクトロスコピィ(NIRS)を用いてECT前後の脳機能を検証しました。単極・双極うつ病患者のECT前後で、言語流暢性課題施行下の脳機能変化を調べたところ、ECT前に比較して施行後に、両側前頭葉のNIRS酸素化ヘモグロビン値が増加していました。 Hirano J, et al. J Psychiar Res 2017 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28292650
    • 健常者の対人葛藤刺激に対する恐怖条件付け 対人葛藤を喚起するような刺激を作成し、条件付けと消去が成立することを健常者で確認しました。また条件反応の程度は境界性パーソナリティ傾向との相関がみられ、社会的刺激に対する連合学習を精神疾患患者で検出できる可能性が示されました。 Tada M, et al. PLoS One 2015 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25978817
    • 精神疾患でのヨガとピラティスのフレイルへの効果 精神疾患に対するオープンラベル無作為化比較試験を実施し、30分のヨガとピラティスの単一介入で重心動揺の改善を一時的に得ました。ヨガとピラティスが精神疾患のフレイル(脆弱性)予防になる可能性を示しています。 Ikai-Tani S, et al. Int J Geriatr Psychiatry 2020 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33316106/
    • 統合失調症でのヨガによるQoLの変化 統合失調症に対するヨガ介入(単盲検無作為化試験)の再解析において、QoLの早期改善はヨガ介入後におけるQoLの改善と関連していました。早期改善がヨガ反応の予測因子となる可能性を示しています。 Ikai-Tani S, et al. Asian J Psychiatry 2020 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32593123/
    • 統合失調症および双極性障害患者における宗教性とレジリエンス:国際的な横断研究 統合失調症および双極性障害を抱える患者を対象に、日本とオーストリアの二カ国で、高い宗教性が心理的レジリエンス、社会機能、精神症状に対し保護的に働くかを検討しました。両国で369名の被験者を評価しましたが、宗教性と3つの因子との間に有意な関連は認めませんでした。 Mizuno Y, et al. Acta Psychiatr Scand 2018 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29141100/
    • 精神疾患における椅子ヨガ療法の体力への効果 精神疾患に対し12週間の椅子ヨガ療法(単盲検無作為化試験)を実施し、柔軟性、筋力、転倒恐怖心、生活の質の改善を得ました。椅子ヨガ療法が精神疾患患者の体力を増進し、転倒予防介入となる可能性を示しました。 Ikai S, et al. J Psychiatr Res 2017 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28750232
    • 統合失調症および双極性障害患者のレジリエンスと関連する臨床的・生物学的因子:横断研究 統合失調症および双極I型障害患者の主観的レジリエンスと関連する因子を包括的に検討しました。180名の被験者を評価した結果、自尊感情、QOL、希望がレジリエンスの程度と正の相関を示し、内面化されたスティグマと抑うつ症状が負の相関を示しました。 Mizuno Y, et al. Schizophr Res 2016 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27185483/
    • 日本の離島と都市部における統合失調症患者のレジリエンスの比較 統合失調症患者のレジリエンスレベルを離島と都市部で比較した横断研究の結果、両群には差がありませんでした。また、病歴の長さとQOLの高さがレジリエンスレベルの高さに関連していました。地域性よりも、病気への適応や主観的な見通しといった因子がレジリエンスに影響を及ぼすのかもしれません。 Yoshida K, et al. Schizophr Res 2016 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26805409
    • 統合失調症におけるレジリエンス研究:近年の知見に関するレビュー 2014-2015年に出版された20報の研究をレビューしました。統合失調症患者におけるレジリエンス研究が、1)良好な転帰と関連する保護因子に関する研究、2)高リスクでありながら発症しない人々の特徴に関する研究、3)心理尺度を用いてレジリエンスを評価した研究と3つに大別されることが分かりました。 Mizuno Y, et al. Curr Opin Psychiatry 2016 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26998939/
    • 統合失調症でのヨガ療法による重心動揺の変化 慢性期統合失調症患者に対して、8週間のヨガ療法(単盲検無作為化試験)を実施し、姿勢制御に関する重心動揺の有意な改善を認めました。ヨガ療法が、統合失調症における転倒予防の介入になる可能性を示しました。 Ikai S, et al. J Psychiatr Res 2013 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23932244
    • 精神疾患患者の交通外傷における低い死亡率New 日本の外傷データバンクの調査から、交通外傷における死亡率は精神疾患合併群の方が非合併群より院内死亡率が有意に低く、この傾向は頭部外傷合併例のみ有意でした。精神疾患合併患者の身体疾患の予後は必ずしも悪くはない可能性が示唆されました。 Ishida T, et al. Injury. 2021 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33663800/
    • 自傷外傷による死亡と精神疾患既往の有無の関連 国内外傷データベースを用いて自傷(飛び降り・刺傷など)による外傷入院患者の転帰を調べたところ、精神疾患既往がある方が外傷の重症度で調整しても死亡率が低いという結果が得られました。早期のリエゾン介入へのつながりやすさや、精神科治療の予後改善効果を表しているかもしれません。 Ishida T, et al. Psychiatry Res 2020 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32977053/
    • 精神疾患患者における肺塞栓症は急性心筋梗塞と比べてどのくらい一般的か? カルテ調査の結果、統合失調症と気分障害の合併率は、肺塞栓症患者が急性心筋梗塞患者よりも有意に高く、それ以外の精神疾患では両群に有意な差はありませんでした。特に、統合失調症と気分障害においては、肺塞栓症の合併にも注意が必要であることが示唆されます。 Ishida T, et al. Psychiatry Clin Neurosci 2020 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31930689
    • 重度精神疾患患者では心停止の原因として致死性不整脈の割合が低い 院外心停止患者のカルテ調査の結果、重度精神疾患患者では、精神疾患を持たない患者と比較して、致死性不整脈を呈する割合が有意に低いことが示されました。重度精神疾患心停止の原因としては、肺塞栓症や窒息といった非心原性疾患の方が高いのではないかと推察されました。 Ishida T, et al. Psychosomatics 2020 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31607503
    • 統合失調症・気分障害患者における敗血症による死亡率のカルテ調査 統合失調症または気分障害患者と精神障害を合併していない患者において、侵襲的治療の頻度、院内死亡率、ICU滞在日数、在院日数は両群に有意な差はありませんでした。精神疾患患者が重症な身体疾患を合併した場合も、身体科と精神科が連携し、適切な治療を行うことが重要であることが示唆されます。 Ishida T, et al. Psychiatry Res 2019 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30558820
    • 振戦せん妄の経過中にタコツボ型心筋症併発した症例報告と文献レビュー アルコール依存症の57歳男性が断酒により振戦せん妄となり、その経過中にタコツボ型心筋症併発し、心室細動に至った一例を報告しました。これまでもアルコール離脱中にタコツボ型心筋症を併発した症例報告は散見されており、これらの合併に注意が必要であると考えます。 Ishida T, et al. Psychosomatics 2019 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29336786
    • 精神疾患患者における院外心停止の病因 カルテ調査の結果、精神疾患患者は精神疾患を持たない患者に比べて、致死性不整脈による心停止の割合は有意に低く、肺塞栓症や窒息に伴う心停止の割合が有意に高いことがわかりました。精神疾患患者の心停止の原因として、肺塞栓症や窒息と疑うことの重要性が示唆されます。 Ishida T, et al. Psychiatry Clin Neurosci 2019 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30588704
    • 統合失調症患者における幻聴体験の概日リズム 統合失調症患者の幻聴の日内変動を記録し、採血から推測した抗精神病薬のドパミンD2受容体占拠率の日内変動との関連を調査しました。幻聴は18-21時に好発していました。症状の出現時間に合わせた時間薬理学的介入が有用かもしれません。 Koizumi T, et al. J Psychiatr Res 2019 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31254838/
    • 社会機能による統合失調症の分類 統合失調症の重症度は従来、陽性症状や陰性症状などで評価されてきましたが、社会機能障害も診断などに欠かせない要素です。本論文では社会機能の評価尺度を用いて疾患を分類することの可能性を提唱しました。 Suzuki T. Psychiatr Q 2018 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29297110
    • どの症状ドメインが統合失調症患者の自覚的な苦痛と関連しているか? 統合失調症外来患者において、Visual Analogue Scaleで測定した自覚的な苦痛の程度は、罹病期間や病識で補正してもPANSS(5因子モデル)の陽性症状のみと有意に相関していました。臨床医の視点のみならず患者の主観的にも陽性症状が主要な治療標的であることが示唆されました。 Takeuchi H, et al. Schizophr Res 2016 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27261417/
    • ステロイド処方患者における向精神薬の処方パターン 約58万人分のレセプト情報を用い、ステロイド内服者18122人の向精神薬処方パターンを調査しました。ステロイド処方群では非処方群よりも向精神薬が高率で処方され、ステロイド用量との関連は乏しい結果を認め、ステロイドは用量によらず精神症状を惹起する可能性が示唆されました。 Yatomi T, et al. Acta Psychiatr Scand 2020 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32677065/
    • うつ病患者の主観的認知機能に対し、主観的・客観的寛解が与える影響 うつ病患者において、主観的にも客観的にも重症度が高いほど主観的認知機能に負の影響を与えていました。また、客観的には寛解していても、主観的には寛解していない群では、両者が寛解している群と比較して主観的認知機能が有意に低下していました。 Sawada K, et al. J Affect Disord 2019 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30578953
    • 初期研修医のアイデアに基づく学生臨床実習改革 初期研修医を対象に自分が経験した臨床実習について聞き取り調査を行い、それを基に精神神経科の臨床実習を1年間にわたり変革させました。様々な大学や診療科における体験から幅広い情報を集め取り入れることができました。 Sakurai H, et al. Asian J Psychiatr 2019 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31362193
    • 高齢者に対する遠隔神経心理検査 アルツハイマー病評価スケール(ADAS)を遠隔で使用した場合(ビデオ会議システムを使用)でも、対面でその評価を実施した場合と同等の評価が可能であることが示されました。遠隔での実施が、対面で神経心理検査を行えない場合の代替法となるかもしれません。 Yoshida K, et al. J Telemed Telecare 2019 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31068063
    • 電気けいれん療法後のせん妄に関与する因子 系統的レビューの結果、電気けいれん療法後のせん妄のリスク因子として、カタトニア症状、脳血管障害、パーキンソン病、認知症、両側性の電極配置、高刺激強度、長いけいれん時間がありました。一方、デクスメデトミジン、ultrabrief pulse ECTは予防的に作用することが分かりました。 Tsujii T, et al. J ECT 2019 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31764452/
    • うつ病患者におけるキヌレニン酸のレビュー うつ病の病態生理との関連が示唆されているキヌレニン経路の代謝産物について、健常者と比較したメタアナリシスを行い、うつ病患者ではキヌレニン酸が低下しているという結果を得ました。 Ogyu K, et al. Neurosci Biobehav Rev 2018 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29608993/
    • 精神科受診への言語の壁に関する系統的レビュー その国における公用語の言語能力と精神科の受診行動に関する文献を同定し、系統的レビューを行ったところ、18本中15本の文献で、言語能力が低いほど精神科の受診が少ないという結果が示されました。 Ohtani A, et al. Psychiatr Serv 2015 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25930043/
    • 双極性障害の欠損状態:有病率調査と7例報告 双極性障害は、統合失調症で認められる人格水準の低下(欠損症候群)は無いと考えられてきましたが、横断研究の結果、双極性障害患者494名中7名 (1.4%) が欠損症候群の定義を満たしました。Kraepelinの二大精神病論(現代精神医学の基礎)に対して再考を迫った研究であると言えます。 Nio S, et al. J Affect Disord 2012 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22840466/

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