「妊娠による社会認知機能と脳機能への影響」研究に対するご協力のお願い募集は終了いたしました
慶應義塾大学病院・精神神経科では、妊娠することにより社会認知機能が向上し脳機能のトレードオフが起きることを明らかにする研究を行なっております。
妊娠中には一過性に記憶力や集中力、計画して作業を進める能力などが低下することが過去の複数の研究で報告されています。一方で、社会認知機能と呼ばれる、他者の気持ちや意図を読み取って理解し共感するといった能力が妊娠により向上する可能性があります。
本研究を実施するためには、多くの妊婦さんと、妊娠を経験されていない女性の協力が必要です。ご興味をお持ちになられた方は、ぜひご協力をお願いいたします。
1対象となる方
*初産の妊婦さん(20歳以上50歳未満)で現在妊娠20週以前の方
または
*これまでに一度も妊娠をされていない女性(20歳以上50歳未満)
※その他の詳細については研究参加時に改めて確認をさせていただきます
2研究課題名
承認番号 20200253
研究課題名 妊娠による社会認知機能と脳機能への影響
3研究実施機関
慶應義塾大学医学部 精神・神経科学教室/慶應義塾大学病院 精神・神経科
4研究の背景・意義・目的
産後のお母さんは生まれてきた赤ちゃんの表情や様子から赤ちゃんが心地良く感じているか不快に感じているかを読み取り、赤ちゃんの要求に適切に応えることが求められます。また子供の情緒面の発達において母親(療育者)の共感性は重要な要因であると考えられています。このように社会認知機能は子育てにおいてとても重要な役割を果たしています。
妊娠による脳機能への影響は未だ解明されていません。過去の複数の研究から、記憶(例えば、提示されたいくつかの単語を覚え、その数分後それらを正確に思い出す能力)や遂行機能(ある課題を達成するために、順序立てて計画し効率よく実行していく能力)といった認知機能が妊娠中に一過性に低下することが報告されています。
一方で生まれてくる子供の養育に備えて、妊娠すると社会認知機能が向上することが想定されています。例えば、妊婦さんでは妊娠していない女性に比べて表情刺激への注意が増強するとの報告や、妊娠後期では妊娠初期に比べて脅威と感じるような表情をより敏感に認識するという報告があります。
本研究では妊娠が子供の養育に必要な社会認知機能を向上させ、記憶や遂行機能といった認知機能を低下させる(認知機能のトレードオフが起きている)という仮説を証明することを目的とします。妊娠の前期と後期の計2回において、記憶や遂行機能、社会認知機能などを調べる検査を行い、その経時的な変化を評価します。また同時に脳波活動やアイトラッカーによる選択的注意や瞳孔径を測定し、妊娠期における脳機能や生体反応の変化を調べます。
5ご協力をお願いする内容
研究のお申し込みをいただいてから、担当者より電話もしくはメールにて研究の詳細について説明をさせていただきます。ご参加をいただける方には慶應義塾大学病院精神・神経科にご来院いただく日時を調整し決定させていただきます。ご来院された際に、改めて書面にて研究の説明をさせていただき、同意書の取得を行います。
妊娠20週までに1日(最初の来院と同日)、妊娠30週以降に1日の計2日間、慶應義塾大学病院にて研究に参加していただきます。認知機能を評価する質問に答えていただき、脳波計やアイトラッカーによる計測を行います。
未経妊女性の協力者の方では約4ヶ月の期間をあけて同様の評価を実施いたします。
ご協力いただいた方には、1回毎に5,000円(交通費込み)をお支払いいたします。妊娠さんでは2回目の来院時に移動が大変なことを考慮し、往復10,000円の範囲内でタクシー代をお支払いいたします。
6本研究の実施期間
研究機関の長から実施許可が下りた日から西暦2025年3月31日まで
7プライバシーの保護
氏名、生年月日、住所、電話番号といった個人を特定する情報は削除し、研究データには別の番号をつけ、匿名化したうえで管理いたします。そのため、個人情報が漏れる心配はありません。個人情報を符号化する表(この表を照合表といいます)はどうしても必要になってしまいますが、照合表に関しても厳重に個人情報管理者が管理し、他人に漏れることはありません。なお、学術学会や専門学術誌などに公表する際には、個人が特定される情報は省いた状態で発表されますので、個人が特定できることはありません。
8お問い合わせ先
本研究へ参加希望または質問のある方は、下記へご連絡ください。
研究責任者:山縣 文
研究分担者:南 房香
臨床研究機関名:慶應義塾大学 医学部 精神・神経科学教室
住所:〒160-8582 東京都新宿区信濃町35
電話番号:03-5363-3971(平日10:00~17:00)