「老年期うつ病の病像ならびに神経基盤の解明」研究に対するご協力のお願い

慶應義塾大学病院・精神神経科では、①老年期うつ病における、うつ病発症年齢による検査所見や症状の特徴の違い、②老年期うつ病の特異的な神経回路、③老年期うつ病の診断のためのより負担の少ない指標を明らかにする研究を行なっております。

老年期うつ病(60歳以上のうつ病)の一部は症状や経過が若年者のうつ病とは異なるとされています。うつ病のより適切な治療のためには確実な診断が必要ですが、現在も診断をする際の補助となるような生物学的指標は存在していません。実臨床において使用可能な簡便に利用できる生物学的指標の開発が必要とされています。

本研究を実施するためには、多くのうつ病患者さんと、健常者の協力が必要です。ご興味をお持ちになられた方は、ぜひご協力をお願いいたします。

1対象となる方

慶應義塾大学精神・神経科外来あるいはメモリークリニックに通院中あるいは入院中の、60歳以上のうつ病患者さん
※その他の詳細については研究参加時に改めて確認をさせていただきます

または、

精神疾患と診断されたことのない、60歳以上の健常者
※その他の詳細については研究参加時に改めて確認をさせていただきます

2研究課題名

承認番号
研究課題名 「老年期うつ病の病像ならびに神経基盤の解明」

3研究実施機関

慶應義塾大学医学部 精神・神経科学教室/慶應義塾大学病院 精神・神経科

4研究の背景・目的・意義

(1)この研究の背景・目的
世界保健機構(WHO)の報告によれば、うつ病をはじめとする気分障害は社会的、経済的負担が最も大きい疾患の一つであるとされています。なかでも老年期のうつ病は、生活の質に大きな影響を与えるとされています。

老年期うつ病(60歳以上のうつ病)の一部は症状や経過が若年者のうつ病とは異なるとされ、一部の老年期うつ病は抗うつ薬の効果が得づらいとされています。さらに、老年期うつ病は発症年齢により細分化され、老年期うつ病の中でも発症年齢が早期(70歳以下)と後期(70歳以上)では症状や脳内での神経学的変化、治療効果等が異なる可能性が示唆されています。しかし、老年期うつ病における症候学的特徴や脳内での神経学的変化、治療効果等の詳細は十分に明らかになっていません。

このように、うつ病(特に老年期うつ病)ではさまざまな病態が混在している可能性が示唆されています。うつ病のより適切な治療のためには確実な診断が必要ですが、現在も診断をする際の補助となるような生物学的指標は存在していません。このため、現在においても老年期うつ病の診断は問診を中心とした診療により行われており、実臨床において使用可能な簡便に利用できる生物学的指標の開発が必要とされています。

今回、臨床症状、MRI脳画像、視線計測等を評価し(うつ病の方と神経回路を比較検討するために、一部健常者の方も対象としています)、①発症年齢による、検査所見や症状の特徴の違いをあきらかにする、②老年期うつ病における特異的な神経回路の解明、③より負担の少ない老年期うつ病に特異的な指標の検証を課題として、本研究を計画しました。

(2)この研究を実施する意義
本研究により老年期うつ病の適切な診断・治療につなげることは、高齢者のQOL改善においても意義は非常に高いと考えます。また負担の少ない視線計測技術を用いて老年期うつ病の診断補助が可能となる生物学的指標が抽出可能となればその価値は非常に高いと考えています。

5ご協力をお願いする内容

研究のお申し込みをいただいてから、担当者より電話もしくはメールにて研究の詳細について説明をさせていただきます。ご参加をいただける方には慶應義塾大学病院精神・神経科にご来院いただく日時を調整し決定させていただきます。ご来院された際に、改めて書面にて研究の説明をさせていただき、同意書の取得を行います。

本研究では、皆様に背景情報の提供、精神状態についての評価、MRI撮像、視線計測にご協力をお願いしています。1回目の評価から3〜6か月後の1回、合計2回上記の評価(精神状態や視線計測の評価)を受けていただきます。

ご協力いただいた方には、1回毎に5,000円(交通費込み)をお支払いいたします。

6本研究の実施期間

研究機関の長から実施許可が下りた日から西暦2028年3月31日まで

7プライバシーの保護

氏名、生年月日、住所、電話番号といった個人を特定する情報は削除し、研究データには別の番号をつけ、匿名化したうえで管理いたします。そのため、個人情報が漏れる心配はありません。個人情報を符号化する表(この表を照合表といいます)はどうしても必要になってしまいますが、照合表に関しても厳重に個人情報管理者が管理し、他人に漏れることはありません。なお、学術学会や専門学術誌などに公表する際には、個人が特定される情報は省いた状態で発表されますので、個人が特定できることはありません。

8お問い合わせ先

本研究へ参加希望または質問のある方は、下記へご連絡ください。
研究責任者:平野 仁一
研究分担者:西田 晴菜
臨床研究機関名:慶應義塾大学 医学部 精神・神経科学教室
住所:〒160-8582 東京都新宿区信濃町35
電話番号:03-5363-3971(平日9:00~17:00)