「アルコール使用障害に対するtheta burst stimulationによる次世代ニューロモデュレーション治療法の開発とその治療メカニズムの解明」研究に対するご協力のお願い
慶應義塾大学病院・精神神経科では、アルコール使用障害に対する反復的経頭蓋磁気刺激法(rTMS療法)を用いた新規治療法を開発し、その効果を確かめる研究を行っております。
アルコール使用障害の発症とその回復には、脳の最も前方にあたる前頭極皮質の機能の変化が伴うことが、過去の複数の研究で報告されています。この発見を、脳の機能を局所的に変化させるrTMS療法に応用することで、アルコール使用障害に対する新しい治療法を開発できる可能性があります。
本研究を実施するためには、アルコール使用障害の患者さんの協力が必要です。ご興味をお持ちになられた方は、ぜひご協力をお願いいたします。
1対象となる方
20歳以上、65歳未満の方
アルコール使用障害をお持ちの方
慶應義塾大学病院精神・神経科の外来にて継続して治療および検査を受けられる方
※参加にあたってはより詳細な基準がございます。その他の詳細については研究参加時にあらためて確認させていただきます。
2研究課題名
アルコール使⽤障害に対する theta burst stimulation による次世代ニューロモジュレーション治療法の開発とその治療メカニズムの解明
整理番号:N20230001(慶應義塾臨床研究審査委員会)
臨床研究実施計画番号:jRCTs032230651
臨床研究等提出・公開システムに公開されている情報は、こちらからご確認いただけます。
https://jrct.mhlw.go.jp/latest-detail/jRCTs032230651
3研究実施機関
慶應義塾大学医学部 精神・神経科学教室/慶應義塾大学病院 精神・神経科
4研究の背景・意義・目的
アルコール使⽤障害の治療は、お酒を我慢することが中⼼で、お薬やカウンセリングによってその⽀援が⾏われてきました。しかしながら、現在の治療ではなかなか改善しないと感じている⽅は少なからずいらっしゃいます。特に、習慣的に多量飲酒をしてしまうと肝臓をはじめとして全⾝に害をもたらしますが、既存のお薬の多量飲酒を防ぐ効果は⾼いとは⾔えません。そこで、近年注⽬されているのが、脳の前頭前野という部位に特殊なコイルを使って磁気を流し、局所的に脳の機能を変化させる反復的経頭蓋磁気刺激療法(rTMS 療法)と呼ばれる治療法です。
これまでの研究により、アルコール使用障害の中心的な症状である、社会的, 職業上または健康上の悪影響があるにもかかわらず飲酒をやめることができないことが、脳の最も前方にある前頭極皮質の機能低下と関係していることが明らかになりつつあります。この発見をもとに、前頭極皮質の機能を局所的に変化させるrTMS療法を行うことで、アルコール使用障害を引き起こす脳の仕組みに基づいた治療を開発できる可能性があります。しかしながら、そのような研究は現在まで世界的にも極めて少数に留まっており、日本およびアジアでは行われておりません。
そこで、この研究では、前頭極皮質に対するrTMS療法を開発し、その安全性、実行可能性、有効性を検証します。これは、アルコール使用障害に対する新たな治療法の開発と検証に向けた第一歩となる研究です。
5ご協力をお願いする内容
研究のお申し込みをいただいてから、担当者より電話もしくはメールにて研究の詳細について説明をさせていただきます。ご参加をいただける方には慶應義塾大学病院精神・神経科にご来院いただく日時を調整し、決定させていただきます。ご来院された際に、改めて書面にて研究の説明をさせていただき、同意書の取得を行います。
研究においては、最大8ヶ月(33週間)の継続的なご協力をお願いしております。治療開始前に最大で6週間、治療前の症状を記録し、脳波とMRIを取得させていただきます。治療期間には、3週間の間、平日に週5回、慶應義塾大学病院精神・神経科外来にてrTMS療法を行います。その後、24週間の間、症状の変化を記録します。
ご協力いただいた方には、ご協力いただいた内容に応じて最大30,000円を負担軽減費としてお支払いいたします。
6本研究の実施期間
臨床研究等提出・公開システムに本研究の情報が公表された⽇から西暦2028年3月31日まで
7プライバシーの保護
氏名、生年月日、住所、電話番号といった個人を特定する情報は削除し、研究データには別の番号をつけ、匿名化したうえで管理いたします。そのため、個人情報が漏れる心配はありません。個人情報を符号化する表(この表を照合表といいます)はどうしても必要になってしまいますが、照合表に関しても厳重に個人情報管理者が管理いたしますので、他人に漏れることはありません。なお、学術学会や専門学術誌などに公表する際には、個人が特定される情報は省いた状態で発表されますので、個人が特定できることはありません。
8お問合せ先
本研究へ参加希望または質問のある方は、下記へご連絡ください。
研究責任医師:中島振一郎 (慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室 専任講師)
臨床研究機関名:慶應義塾大学 医学部 精神・神経科学教室
住所:〒160-8582 東京都新宿区信濃町35
電話番号:03-5363-3971(平日10:00~17:00)