Multidisciplinary Translational Research Lab(精神病態生理学研究室)

精神神経疾患のバイオタイプの同定を目指したTMS-EEG横断研究

本研究について

1背景

現在の精神疾患の診断基準には客観的な生物学的指標が存在せず、診断は臨床症状のみで行われております。しかし同一の精神症状が異なる精神疾患に認められるなど、既存の疾患分類の妥当性に疑問が向けられています。また多くの精神疾患に認められる認知機能障害については十分な有効性が示されている治療法はありません。これら問題を解決するためには、各精神症状に対応した生物学的指標(バイオマーカー)の開発と新たな診断分類の作成、そしてこれに基づく新規治療の確立が必要となります。

2TMS-EEGについて

TMS-EEG近年、ヒトの脳神経生理機能を非侵襲的に評価する方法として経頭蓋磁気刺激法と高解像度脳波計を組み合わせた技術(TMS-EEG同時計測法)を開発しました。本手法では脳神経活動を数十ミリ秒単位で、かつ高い解像度で検出することが可能です。同技術を応用することで、個人レベルで診断の補助が可能となるような、診断的特異度の高い生物学的特徴量(バイオタイプ)を確立することが期待されています。

3本研究の目的

精神疾患の生物学的診断の補助となるTMS-EEG同時計測法を確立し、精神科診断の精度と信頼度を改善。さらに新規rTMS治療の有用性を確認することで難治性精神症状からの回復を目指します。

4本研究への参加条件

  • 対象疾患:うつ病、軽度認知障害、統合失調症、双極性障害、自閉症スペクトラム障害と診断されている方を対象にしています。
  • 年齢:うつ病と自閉症スペクトラム障害の方については13歳以上の方を対象にしています。

※1 主治医の先生から必ず紹介状を受け取ってください。紹介状のない方は研究への参加をお断りしています。
※2 当研究の目的は診断を付けることではありません。セカンドオピニオン目的の参加はできませんのでご遠慮ください。

5研究の詳細

  • 場所:慶應義塾大学病院とその周辺で行います。
  • 期間:1日当たり3~4時間で4日間行います。
  • 研究の流れ:
    ⅰ) 下記のフォームからご応募いただくと、研究の詳細に関するメールが届きます。
    ⅱ) メールあるいはお電話でのご連絡にて研究の希望日を決めていただきます。
    ⅲ) 慶應義塾大学病院の「TMS外来」を受診していただきます。
    ⅳ) TMS外来で改めて診察をさせていただき、研究に参加できる条件を満たしているかチェックさせていただきます。
    ⅴ) 参加条件を満たされた方はその場で同意を取得し、その後心理検査を受けていただきます。その日はそれで終了となります。
    ⅵ) 改めて別日に提携施設でMRI検査を受けていただきます。
    ⅶ) さらに別日に来院していただき包括的臨床評価検査を受けていただきます。
    ⅷ) 改めて別日に来院していただきTMS-EEG検査を受けていただきます。
    ⅸ) 各検査の順番はスケジュールにより前後することはあります。
    ⅹ) 以上で終了となります。後日こちらより検査結果の概要を郵送させていただきます。また万が一検査で異常が見つかった場合は、詳細なご連絡をさせていただきます。

6研究へのお申込み方法

主治医の先生と本研究の参加についてご相談の上、
ⅰ) 以下のフォームに連絡先をご入力してください。担当者から順次メールあるいは電話でご連絡致します。現在、申込者人数の関係で、研究へのご案内まで多少のお時間を頂いております。

ⅱ) 担当者が電話にて簡単にお話をお伺いした上で、こちらの方でTMS外来の日程を調整致します。TMS外来予約の日時が確定した後に、月曜・火曜午前のTMS外来に紹介状を持っていらしてください。

ⅱ) 毎週月曜・火曜午前のTMS外来に紹介状をもってご予約ください

7本研究にご参加いただく意義

  • 精神医学の発展に寄与します。
  • 大学病院だからできる高度な検査を受けることができます。
  • 研究で施行されたすべての検査の結果を説明いたします。
  • 研究謝礼として、すべての検査にご協力いただいた研究協力者さまには8,000円をお支払い致します(研究にかかわる全ての検査において費用は一切かかりません。公共交通機関の交通費もお支払いいたします)。

研究責任者の言葉(野田Dr.)

野田Dr肺炎はレントゲンで、不整脈は心電図で診断することができます。しかしこころの病気を診断できる検査は、今は全くありません。そのためどんなに経験を積んだ医師でも、常に正確な診断をするのは非常に困難です。
医学は科学であるためより正確な診断をするための手段を開発することは医師の義務だと私は考えております。今回の研究を介して、精神疾患をより科学的に診断をすることを目指しているのでご興味のある方はぜひご参加ください。

8お問い合わせ

住所:〒160-8582 東京都新宿区信濃町35 慶應義塾大学 医学部 精神・神経科学教室
電話番号: 03-5363-3971
E-mail:keio.tms.research@gmail.com
研究責任者:特任講師・野田賀大 担当者:アシスタント・稲葉恵利・富樫敦子

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めい
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主治医から受けている診断必須
紹介状の有無必須

現在、中島・野田ラボの研究生および大学院生(修士・博士)を募集しております。理工学部の学生さんや他大学に所属している方であっても、当研究室に興味のある方は大歓迎ですので、是非下記の連絡先にメールを頂けますと幸いです。

Lab News

(2018年10月)
慈恵医大との共同研究により、認知症の神経精神症状の治療において、認知機能を悪化させないことが肝要である、ということを報告しました。”Association between Neuropsychiatric Improvement and Neurocognitive Change in Alzheimer's Disease: Analysis of the CATIE-AD Study.” Nagata T, Shinagawa S, Nakajima S, Mimura M, Shigeta M. J Alzheimers Dis. 2018.

トロント大学CAMHとの共同研究論文です。うつ病患者に対する従来型の左背外側前頭前野への高頻度rTMS治療が、左海馬体積と安静脳波のシータガンマカップリングを有意に増加させ、さらにシータガンマカップリングの増加が認知機能の改善と正の相関を示すと同時に左海馬体積増加とシータガンマカップリングも有意な相関を示すことを明らかにしました。うつ病患者への左DLPFC-rTMS治療がprefrontal-hippocampus circuitを介して機能構造的な神経可塑的変化を引き起こし、認知機能改善効果をもたらしている可能性を示しました。”Enhanced theta-gamma coupling associated with hippocampal volume increase following high-frequency left prefrontal repetitive transcranial magnetic stimulation in patients with major depression.” Noda Y, Zomorrodi R, Daskalakis ZJ, Blumberger DM, Nakamura M. Int J Psychophysiol. 2018 133:169-174.

(2018年9月)
トロント大学との共同研究論文が2本出ました。1つ目は、統合失調症の病識についてドパミン機能と認知機能の両面から検討したビッグデータ再解析研究“The Effects of Illness Severity, Cognition, and Estimated Antipsychotic Dopamine Receptor Occupancy on Insight into the Illness in Schizophrenia: An Analysis of Clinical Antipsychotics Trials of Intervention Effectiveness (CATIE) Data.” Ozzoude M, Nakajima S, Plitman E, Chung JC, Kim J, Iwata Y, Caravaggio F, Takeuchi H, Uchida H, Graff-Guerrero A, Gerretsen P. Progress in Neuropsychopharmacology & Biological Psychiatry

2つ目は、治療抵抗性統合失調症について脳内グルタミン酸濃度とクロザピン反応性を検討しクロザピン抵抗性統合失調症の前帯状回でのグルタミン酸濃度の亢進を明らかにした横断的MRS研究です。“Glutamatergic Neurometabolite Levels in Patients with Ultra Treatment-Resistant Schizophrenia: a Cross-sectional 3T Proton MRS study.” Iwata Y, Nakajima S (co-first), Plitman E, Caravaggio F, Kim J, Shah P, Mar W, Chavez S, De Luca V, Mimura M, Remington G, Gerretsen P, Graff-Guerrero A. Biological Psychiatry.

【学会発表】
第40回日本生物学的精神医学会・第61回日本神経化学会大会合同年会(2018年9月6日から8日:神戸国際会議場)にて、MTRラボから、ポスター12演題、口演4演題、シンポジウム2演題の発表を行いました。同学会で和田真孝先生が若手優秀発表賞を受賞しました。

(2018年8月)
【論文】
 MTRラボ7本目の論文は、森口先生と高宮先生が粘り強く論文を集め、解析執筆を行った「うつ病の前帯状回のグルタミン酸系の異常」をまとめたメタ解析論文です。うつ病に対する薬物療法はモノアミン系しかなく、難治例や自殺の切迫例にケタミンの効果が注目される今、本論文はまさにタイムリーな報告だったと思います。”Glutamatergic Neurometabolite Levels in Major Depressive Disorder: A Systematic Review and Meta-analysis of Proton Magnetic Resonance Spectroscopy Studies.” Moriguchi S§, Takamiya A§, Noda Y*, Horita N, Wada M, Tsugawa S, Plitman E, Sano Y, Tarumi R, ElSalhy M, Katayama N, Ogyu K, Miyazaki T, Kishimoto T, Graff-Guerrero A, Meyer JH, Blumberger DM, Daskalakis ZJ, Mimura M, Nakajima S. Molecular Psychiatry, 2018.

(2018年7月)
【論文】
MTRラボ6本目の論文は、当科三村教授の認知症薬物療法に関するオピニオンペーパーです。慈恵医大とのコラボレーション企画です。あいらの森ホスピタル永田院長が尽力されました。”Pharmacotherapy for Alzheimer’s Disease: A perspective on treatment strategies in Japan.” Nagata T, Nakajima S, Shinagawa S, Noda Y, Mimura M. Expert Opin Pharmacother. 2018 Jul 18.

精神病ハイリスク患者の認知機能の縦断的変化に注目した昭和大の真田先生の研究に参加させていただいた論文がアクセプトされました。BDNFは低値でしたが、明らかな臨床症状との関係はありませんでした。”Correlates of neurocognitive functions in individuals at ultra-high risk for psychosis - A 6-month follow-up study.” Sanada K, de Azúa SR, Nakajima S, Alberich S, Ugarte A, Zugasti J, Vega P, Martínez-Cengotitabengoa M, González-Pinto A. Psychiatry Research. Volume 268, October 2018, Pages 1-7

治療抵抗性統合失調症に対するクロザピン治療の遅れと治療効果の低減について検討した総論を発表しました。“The impact of delay in clozapine initiation on treatment outcomes in patients with treatment-resistant schizophrenia: A systematic review.” Shah P, Iwata Y, Plitman E, Brown EE, Caravaggio F, Kim J, Nakajima S, Hahn M, Remington G, Gerretsen P, Graff-Guerrero A. Psychiatry Res. 2018 Jul 9;268:114-122.

MTRラボとして5本目の論文がアクセプトされました!
 自主学習生の医学部5年の飯森崇君が、前頭前野に対するrTMS治療が、うつ病・統合失調症・アルツハイマー型認知症患者の認知機能に及ぼす影響を包括的にレビューしました。うつ病患者では前頭前野に対するrTMS治療は一定の認知機能改善効果を及ぼすが、統合失調症やアルツハイマー型認知症においては、現時点では明確な認知機能改善効果は認められないという結果が得られました。ただし、これまでの知見ではrTMS治療はどの精神疾患に対しても認知機能を悪化させたという報告はなく、認知機能有害作用のない有望な治療法であることが示唆されました。
 “Effectiveness of the prefrontal repetitive transcranial magnetic stimulation on cognitive profiles in depression, schizophrenia, and Alzheimer’s disease: a systematic review.” Iimori T, Nakajima S, Miyazaki T, Tarumi R, Ogyu K, Wada M, Tsugawa S, Masuda F, Daskalakis ZJ, Blumberger DM, Mimura M, Noda Y. Progress in Neuropsychopharmacology & Biological Psychiatry. 2018 Jun 25;88:31-40.

(2018年6月)

【学会発表】
第114回日本精神神経学会学術総会(2018年6月21日(木):神戸ポートピアホテル)にて、野田・中島と品川俊一郎先生(東京慈恵会医科大学精神医学講座)が、「精神神経疾患における加齢性変化の生理と病理」をテーマとしたシンポジウムを開催しました。
同学術総会(2018年6月22(金):神戸国際会議場)にて、野田が委員会シンポジウム(ECT・rTMS 等検討委員会)「反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)の適正使用指針について」の中で、”うつ病に対する rTMS 治療に関する世界のガイドライン”についてお話致しました。

和田真孝【受賞】
2018年6月17日、和田真孝君がオーストリア・ウィーンにて開催されたThe International College of Neuropsychopharmacology (国際神経精神薬理学会)にてBest poster賞を受賞しました。受賞対象となったのは、健常群、軽度認知機能低下群、アルツハイマー病群において、認知予備能としての教育歴がアミロイドβの蓄積、代謝、脳容積にどの様な影響を与えるのかを調べた研究です。

(2018年4月)
【論文】
主任研究員の野田がトロント大学留学中に実施した「治療抵抗性うつ病に対するシーターバースト刺激(patterned rTMS)と従来型rTMSの有用性を比較検討した臨床試験」で、シーターバースト刺激治療の非劣勢性を証明しました。
“Effectiveness of theta burst versus high-frequency repetitive transcranial magnetic stimulation in patients with depression (THREE-D): a randomised non-inferiority trial” Blumberger DM, Vila-Rodriguez F, Thorpe KE, Feffer K, Noda Y, Giacobbe P, Knyahnytska Y, Kennedy SH, Lam RW, Daskalakis ZJ1, Downar J. Lancet. 2018 Apr 28:391:1683-1692.

MTRラボ3本目・4本目の論文がアクセプトされました!
尾久守侑先生が精神疾患とキヌレニン経路には、神経炎症やグルタミン神経系を背景とした密接な関係があることが分かってきており、今回、うつ病患者におけるキヌレニン経路の代謝産物の変化に関するメタアナリシスを報告しました。
‟Kynurenine Pathway in Depression: A Systematic Review and Meta-analysis” Ogyu K, Kubo K, Noda Y, Iwata Y, Tsugawa S, Omura Y, Wada M, Tarumi R, Plitman E, Moriguchi S, Miyazaki T, Uchida H, Graff-Guerrero A, Mimura M, Nakajima S. Neuroscience & Biobehavioral Reviews, 2018 Mar 30;90:16-25.

和田真孝先生が、ナルコレプシーの神経画像研究について系統的総論を発表しました。
“Neuroimaging Correlates of Narcolepsy with cataplexy: A Systematic Review” Wada M, Mimura M, Noda Y, Takasu S, Plitman E, Honda M, Natsubori A, Ogyu K, Tarumi R, Graff-Guerrero A, Nakajima S. Neuroscience Research, 2018 Mar 23

慢性期統合失調症の脳内グルタミン酸濃度を1H MRSを用いて検証したトロント大学との共同研究を発表しました。
“Striatal neurometabolite levels in patients with schizophrenia undergoing long-term antipsychotic treatment: A proton magnetic resonance spectroscopy and reliability study.” Plitman E, Chavez S, Nakajima S, Iwata Y, Chung JK, Caravaggio F, Kim J, Alshehri Y, Chakravarty MM, De Luca V, Remington G, Gerretsen P, Graff-Guerrero A. Psychiatry Res Neuroimaging. 2018 Mar 30;273:16-24.

治療を受けていない統合失調症における脳内グルタミン酸濃度について検証したメタアナリシスをトロント大学との共同研究という形で報告しました。
“Neurometabolite levels in antipsychotic-naïve/free patients with schizophrenia: A systematic review and meta-analysis of 1H-MRS studies.” Iwata Y, Nakajima S, Plitman E, Mihashi Y, Caravaggio F, Chung JK, Kim J, Gerretsen P, Mimura M, Remington G, Graff-Guerrero A. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 2018 Mar 23.

【グラント】治療抵抗性うつ病に対するrTMS医師主導臨床研究に関して、帝人ファーマ株式会社と共同研究契約を締結しました(4月16日)!!

(2018年3月)
【論文】ラボ初年度に2 本目の論文がアクセプトされました。和田真孝先生が、認知予備能としての教育をアルツハイマー病理から検証しました。
"Effect of education on Alzheimer’s disease-related neuroimaging biomarkers in healthy controls, and participants with mild cognitive impairment and Alzheimer’s disease - a cross-sectional study" Wada M, Noda Y, Shinagawa S, Chung JK, Sawada K, Ogyu K, Tarumi R, Tsugawa S, Miyazaki T, Yamagata B, Graff-Guerrero A, Mimura M, Nakajima S, Journal of Alzheimer's Disease, 2018: 63:861-869.

【グラント】我々の研究「慢性抑うつの神経生理基盤の解明とその病態に基づいた新規ニューロモデュレーション治療法の開発」がAMED(日本医療研究開発機構)「平成30年度 障害者対策総合研究開発事業」に採択されました。

(2018年2月)
【論文】MTRラボの最初のペーパーがアクセプトされました!東京都在住の95歳以上の健康な超高齢者の認知機能と背景因子との関係をまとめた実態調査です。
“Relationships between socio-clinico-demographic factors and global cognitive function in the oldest old living in the Tokyo Metropolitan area - reanalysis of the Tokyo Oldest Old Survey on Total Health”. Eguchi Y, Tasato K, Nakajima S, Noda Y, Tsugawa S, Shinagawa S, Niimura H, Hirose N, Arai Y, Mimura M, The International Journal of Geriatric Psychiatry, 2018 Mar 7.

はじめに-精神疾患の解明に向けて

「精神疾患にはどうしてなるのだろう?」「どのように治療をしていけばいいのだろう?」こういった臨床場面の疑問を通して、「精神疾患とは何だろう?」という命題に挑むことは、精神科臨床に携わる者に許された大義です。この信念をもとに、我々は、精緻な臨床評価、磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging: MRI)を用いた多様な神経画像モダリティと経頭蓋磁気刺激法(transcranial magnetic stimulation: TMS)と高解像度脳波計(high-resolution electroencephalography: EEG)を組み合わせたTMS-EEGによる神経生理モダリティ、さらにはデータ・マイニングを用いて、精神疾患のバイオマーカーの同定、新たな診断補助技術の開発、治療効果発現機序と治療転帰予測、早期発見と予防、より効果的な新規治療法といったテーマに取り組んでいます。

巨人の肩に乗っていることを十分に享受しつつ、これらの研究活動を通して集合知に貢献することによって、精神疾患の病態解明を追究しています。また、“Chance favours the connected mind”の精神を大切に、国内外の研究者とのコラボレーションとデータ・シェアリングを積極的に行っています。研究に対するモチベーションの源泉は精神疾患への興味に他なりません。一条の湧水が大河となるように、各々の関心が精神疾患を解明する強力な駆動力となる、と我々は信じています。研究活動への参加、共同研究のご相談、定例勉強会への参加に関心のある方は是非ご連絡をください。

研究室について

当研究室は、中島振一郎(Shinichiro Nakajima)主任研究員(MRI/MRS神経画像研究担当)と野田賀大(Yoshihiro Noda)主任研究員(TMS-EEG神経生理研究、rTMSニューロモデュレーションによる新規治療開発研究担当)により運営されています。

私たちは、様々な精神神経疾患を対象に生物学的な方法を用いて脳神経の機能および構造・化学的特徴を評価し、各精神神経疾患の病態生理の解明を目指しております。具体的なモダリティとしては、神経生理機能に関しては経頭蓋磁気刺激法(TMS)と高解像度脳波計(EEG)を組み合わせたTMS-EEG、脳構造や神経結合性に関しては磁気共鳴画像(MRI)、化学的特徴に関してはMRスペクトロスコピー(MRS)を用いて、精神神経疾患の定量的研究を実施しております。

研究アプローチとしては、1)精神神経疾患の病態メカニズムやバイオマーカーの同定を目指した神経科学的研究、2)それらの知見を精神神経疾患のバイオタイピング等の生物学的診断補助に応用するトランスレーショナル研究、さらには、3)各病態に対応した治療法の開発の3つを現時点では想定しています。近い将来は、基礎研究や工学系のラボとのコラボレーションにより、精神神経疾患におけるより精密な診断や、より効率的な治療を実装するための医療技術開発にも参画して参りたいと考えております(下図参照)。

研究プロジェクト紹介

  1. (1) 治療抵抗性統合失調症に対するクロザピン研究(慶應精神神経科・トロント大学精神科)
  2. (2) MRI・MRSを用いた治療抵抗性統合失調症の病態解明研究(UMIN000024392: 慶應精神神経科・トロント大学精神科・駒木野病院)
  3. (3) 疾患横断的なTMS-EEG神経生理研究(UMIN000028863: 慶應精神神経科)
  4. (4) 治療抵抗性うつ病に対する急性期rTMS臨床研究(UMIN000028855: 慶應精神神経科・トロント大学精神科)
  5. (5) 治療抵抗性うつ病に対する維持期rTMS臨床研究(UMIN000028855: 慶應精神神経科)
  6. (6) 疾患横断的な包括的メタボローム研究(UMIN000029406: 慶應精神神経科・医化学教室・昭和大学・下総精神医療センター)
  7. (7) 術後せん妄の生物学的予測因子に関する研究(UMIN000029814: 慶應大学病院)

今後、企業との共同研究や連携による画期的なプロジェクトも徐々に実施していく予定です。当研究室では、患者さんやご家族をはじめとした多くの方々の協力を得ながら、精神神経疾患の解明、ひいては患者さんの医療の質の改善に向けて、様々な研究機関・部局・専門家と積極的に連携し、精神科のフロンティアに挑戦していく所存です。

プロトン核磁気共鳴スペクトロスコピーの例

TMS誘発脳波におけるEvent-related perturbation spectrumの一例

ラボメンバー

<主任研究員>

中島 振一郎 (特任講師)
野田 賀大(特任講師)

<大学院生>

D2: 垂水 良介(駒木野病院/慶應義塾大学精神・神経科学教室)
D1: 尾久 守侑(下総精神医療センター/慶應義塾大学精神・神経科学教室)

<研究員>

宮崎 貴浩(特任講師・シニアフェロー)
増田 史(特任助教・ポスドクフェロー)
新井 脩泰(専修医)
和田 真孝(専修医)
黒瀬 心(専修医)
三村 悠(専修医)
西田 晴菜(専修医)
津川 幸子(医学部5年)
本多 栞(政策・メディア研究科修士課程 M1)
越智 涼(環境情報学部3年)
野見山 菜摘(環境情報学部3年)
菊池 優大(環境情報学部3年)
松木 友理恵(環境情報学部3年)
松下 佳鈴(環境情報学部2年)
松本 紘佳(環境情報学部1年)

<客員研究員>

北畑 亮輔(老寿サナトリウム)

共同研究者

杉浦 悠毅(慶應義塾大学医学部医化学教室専任講師)
藤井 進也(慶應義塾大学環境情報学部専任講師)
北城 圭一(理化学研究所脳神経科学研究センター・CBS-トヨタ連携センター・脳リズム情報処理連携ユニット連携ユニットリーダー)
高橋 宏知(東京大学先端科学技術研究センター講師)
中谷 裕教(東京大学大学院総合文化研究科進化認知科学研究センター助教)
松吉 大輔(早稲田大学理工学研究所講師)
品川 俊一郎(東京慈恵会医科大学精神医学講座講師)
小林 伸行(東京慈恵会医科大学ウイルス学講座)
押淵 英弘(東京女子医科大学神経精神科講師)
松井 健太郎(東京女子医科大学神経精神科助教)

2018年:自主学習学生

黒宮 みの里(医学部4年)
西 佑理(医学部4年)
齋藤 直宏(医学部4年)
森田 真司(医学部3年)
嵯峨濃 瑞(医学部3年)

2017年:自主学習学生

飯森 崇(医学部4年)
大森 祐貴(医学部4年)
津川 幸子(医学部4年)

津川幸子さんが、2017年度の自主学習表彰学生に選ばれました!
2018年1月16日(火)に医学部長より表彰状および副賞が贈呈されました!

ラボ獲得グラント

・日本学術振興会 科学研究費 若手研究(A) 2016-2017
・日本学術振興会 科学研究費 若手研究 2018-2020
・日本学術振興会 基盤研究B 2018-2021
・武田科学振興財団 医学系研究奨励 2016, 2017
・内藤記念科学奨励金・研究助成 2016
・臨床薬理研究振興財団研究奨励金 2016
・明治安田心の健康財団医学研究助成 2017
・ひと・健康・未来研究財団研究助成 2017
・三井生命厚生財団研究助成 2017
・ヘルス・サイエンス・センター財団研究助成 2017
・先進医薬研究振興財団 2017
・上原記念生命科学財団特定研究助成金 2018-2020
・AMED障害者対策総合研究事業 2018-2021
・持田記念医学薬学振興財団研究助成 2018

研究セミナー

本研究室では月に1回程度、研究会を行っております。随時、脳画像の各種モダリティの解析トレーニングも行っておりますので、こちらもご参加ください。参加ご希望の方は下記の連絡先までお問い合わせください。

2017年

2/15(水)高宮彰紘先生「ECTの効果発現機序について」

3/8(水)藤井進也先生(環境情報学部)「音楽神経科学のフロンティア」

4/6(木) Fernando Caravaggio先生(トロント大学)「History of Dopamine PET」 

4/12(水)高田則雄先生「光遺伝学的機能的MRI」

5/19(金)野田賀大先生「TMS脳波をめぐる冒険」

6/15(木)尾久守侑先生 「精神疾患とキヌレニン経路」

7/6(木)竹内啓善先生 「統合失調症に対する抗精神病薬治療の全て」

7/20(木)杉浦悠毅先生(医学部医化学教室)「メタボローム解析による血中「代謝分子」疾病マーカーの探索」

8/18(金)「理工学部・環境情報学部・医学部共同安静時MRI解析トレーニング」

8/24(木)岩田祐輔先生「統合失調症とグルタチオン」

9/6(水)品川俊一郎先生(東京慈恵会医科大学)「精神科医のための前頭側頭型認知症入門」

10/5(木)野田賀大先生「TMS-EEGを用いた精神疾患研究」

10/27(金)鶴身孝介先生(京都大学)「ギャンブル障害の脳画像研究」

11/10(金)新井脩泰先生 「せん妄」

11/30(木)高畑圭輔先生 / 佐野康徳先生 / 山本保天先生(放射線医学総合研究所)「精神症候の背景病態について:器質性精神疾患からのアプローチ」

2018年

1/19(金)園田真樹先生「てんかん俯瞰」(横浜市大)

1/31(水)「ナルコレプシー総論」
松井健太郎先生(女子医大)「ナルコレプシーの臨床」
和田真孝先生「ナルコレプシーの神経画像」

2/2(金)宮崎貴浩先生「0から始めるR(周波数解析や基礎統計)」

2/14(水)宮田淳先生(京大)「統合失調症のコネクティビティ」

2/28(水)垂水良介先生「治療抵抗性統合失調症」

3/15(木)竹内啓善先生「遅発性ジスキネジアの症状・診断・機序・治療」

3/16(木)土元翔平先生(慶應義塾大学理工学部)「結合性MRI解析トレーニング」

4/2(月)Ariel Graff先生(トロント大学)「Link between Depression and Dementia」

4/19(木)藤井進也先生(環境情報学部)「統合失調症の音楽機能に関するMRI研究−中間報告」

4/25(水)Eric Plitman先生(トロント大学)「Using Proton Magnetic Resonance Spectroscopy to Study the Glutamatergic System in Patients with Schizophrenia

5/2(水)宮崎貴浩先生「定量的脳波解析トレーニング」

5/30(水)髙堂裕平先生(放医研)「脳疾患におけるMRSを用いたトランスレーショナルリサーチ:マウスからヒトまで」

6/29(金)平野羊嗣先生(九州大学精神科)「Neural oscillation abnormalities in Schizophrenia」

7/13(金)北城圭一先生(理研)「脳波非線形ダイナミクスの個人特性と病態の操作的解明」

8/10(金)五月女康作先生(東大進化認知科学研究センター)「Human Connectome Projectとは?そして、今こそMRIの基礎を学ぼう(仮)」

8/29(水)津川幸子さん「統合失調症の酸化ストレス異常とグルタチオン」

9/14(金)品川俊一郎先生(東京慈恵会医科大学)「BPSDの病態解明を目指して」

10/19(金)西尾慶之先生(松沢病院・東北大学))「レビー小体病の幻覚と錯覚:神経心理学的分析」

11/21(水)増田史先生(特任助教)「脳波がみえる!だれでもできるLORETA解析ハンズオン〜思春期発達障害解明への道程〜」

2019年

2/20(水)橋本謙二先生(千葉大教授)「ケタミンのすべて」

連絡先

リサーチ・アシスタント:
富樫 敦子(Email: togashinobuko0713@gmail.com
稲葉 恵利(Email: enagakura@gmail.com